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夜間頻尿

夜間にトイレに起きる、泌尿器科の臨床で最も難しいご相談の一つです。

起きてしまう理由としては強い尿意や睡眠障害、夜間に尿が多く作られる、睡眠時無呼吸症候群など、原因はいくつか考えられます。

 

・頻尿

泌尿器科はもともと頻尿の相談が多いのですが、昼間の頻尿、夜間の頻尿、例えばお酒を飲んでいるときの頻尿など、場面場面による頻尿があります。また、トイレに行けなくなると途端に行きたくなる方や特定の行動、例えばお勝手仕事でお水を触る、寒いところに出た瞬間に行きたくなるなどの一過性の症状もあります。夜間に起きるのは1回は正常範囲として考えられていますが、泌尿器科に受診されるかたは2~3回起きている方が相談にいらっしゃいます。

・夜間多尿

現状では過活動膀胱という病名で括られがちですが、どうやら夜間頻尿は別物のようです。日々患者さんの訴えを傾聴しておりますが、夜間は無意識であり、睡眠の深さが影響していることは間違いないですが、最近は夜間多尿(夜間の尿量が昼間と比べても多くなってしまう状態、一般的には一日の尿量全部の3分の1以上が夜間に出ている人を指します)が注目されています。

夜間多尿を調査するためには、排尿日誌といって一日24間、何時に何ml排尿したかを記しておかないといけません。皆さんには大変ご苦労を掛けてしまうのですが、こちらのデータがわかると、あとは基礎疾患や飲水量、さらには一日の運動量などを勘案して、ご自身の努力で夜間の尿量を減らせる方と、何らかの医療行為を行い夜間の尿量を減らす治療を行える方に分かれます。

・頻尿の治療と言えば、抗コリン剤またはβ3作動薬

一般的には泌尿器科で尿検査や膀胱の形を確認、男性であれば前立腺の大きさや残尿量を確認してから投与されるお薬の代表格です。抗コリン剤は副作用としては便秘や口が渇くなどがありますが、β3作動薬は比較的に副作用が少ない印象です。いずれの薬も主治医の判断で処方され、効果があるかどうかを確認することになると思います。前立腺肥大症がある方は、前立腺用の薬と併用になることもしばしばです。

・上記の薬が効かない時に、抗利尿ホルモン剤

現状では夜間の限られた時間の尿量を減らすお薬があり、そのお薬を内服することで、今まで夜間に数回トイレに起きていた方が、1回や場合によっては0回になることもあります。このお薬は抗利尿ホルモンといって、もともと夜間に尿があまり沢山作られないようにしているホルモンで、皆さん正常に分泌されていますが、年齢とともにこの分泌量が減ってくることで、夜間多尿が起きてくるのではないかと考えられています。一般的には子どもの夜尿症に使用されているお薬ですが、最近特に男性の大人用の容量(小児の量に比べて少ない量になります)でお薬が使用できるようになりました。お薬の副作用としては水分が一時的に体に蓄積されるので水中毒*が懸念されますが、ご本人の努力と医師の管理によって、最小限にとどめることが可能となります。

我々泌尿器科医は頻尿に対して、全般的には抗コリン剤という内服薬を処方することが多いのですが、なかなか夜間頻尿への効果が限定的でした。前述した治療も選択肢の一つとなってきましたので、少しでも長く寝たいという方には朗報かと思います。ただ、患者さんの水中毒の予防に関しては、繰り返してお願いすることになります。もともと心臓病やご高齢、利尿剤を内服中の方など、処方しづらい患者さんがいらっしゃることも多々あり、誰にでも処方できるわけではありませんのでご了解ください。

* 水中毒とは、倦怠感や疲労感などの症状で、低ナトリウム血症によるものと考えられています。

 

いずれにしても医師に相談して、日常の排尿パターンや症状の発症時期や季節、飲水状況などを確認した上での判断となりますので、お気軽にご相談ください。

 

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