子どもの包茎の話し
よくお子さんの包茎を心配されてご来院される方を拝見いたします。日本では割礼の文化がありませんので、基本的には生まれて思春期を迎えるまでの多くのお子さんは包茎状態です。2次性徴が始まり、陰茎が大きくなる時に包茎が解消または仮性包茎状態になるので、一般的には治療が必要になる可能性の方が低いと考えます。しかし、親御さんとしては、インターネットで情報が蔓延しても “自分のお子さんの陰茎は正常範囲なのか“ と心配になるかと思います。
日本泌尿器科学会雑誌での論文(※)では、包皮の先にステロイドの軟膏を塗布することで、85.5%の有効率で狭い部分を拡げることができるという内容の報告がなされています。私が就職した頃は手術や痛みを伴う翻転(包皮をまくり上げる操作)などを行っていましたが、現在はこの軟膏を塗布することでなるべく保存的に診ていくケースが増えてきていると思います。
外来で拝見するお子さんの多くは包茎の分類(下表参照)ではgrade III~IVにあたります。そのうち外科的な治療が必要になるのは、包皮口が極端に狭くて排尿するときに一度包皮に尿が貯まってから排尿するようなballooningといった現象を伴ったり、亀頭包皮炎を繰り返すような難症例になりますので、一部の方に限られると考えてください。
定期健診では睾丸の位置や大きさもチェックしていると思いますが、包茎その他のご相談がありましたら、お気軽に受診してください。また、大先輩の矢島暎夫先生が執筆された「0~9歳 男の子のママへ まじめなオチンチンの話 男の子の気持ちがわかる本」(カンゼン)も一般の方には大変参考になるかと思いますので、お勧めいたします。
※ 小児の真性包茎に対する吉草酸ベタメタゾン軟膏の有用性 日本泌尿器科学会雑誌 92巻6号, 2001年: 619-623ページ
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